いわゆるすりむいたキズです。
擦り傷は、いろいろあるキズのうちで、子供から大人まで日常生活で最もよく経験するキズの1つです。擦り傷は、転んだり足を滑らせたりしたときに、道路や壁などに手足や顔などをこすってできます。そのため、服から出ている部分で飛び出したところがこすれやすく、膝、肘、手、頬、あごなどにできやすいです。また、擦り傷の深さは、比較的浅いことが多いですが、神経が皮膚の表面に多いためにヒリヒリと痛みます。さらに、こすれて傷口に砂やアスファルトなどが入ると、膿(う)みやすかったりキズあとを残しやすかったりと注意が必要です。
擦り傷ができたら、まず傷口の砂や泥などを水道水で洗い流してきれいにすることが重要です。石鹸でよく泡立てて洗うこともお勧めします。最近では、キズは乾かさずに治した方が早くきれいに治ると言われています。そのようなキズ薬である被覆材(ひふくざい)をご活用してください。詳しくは被覆材(ひふくざい)の項目をご覧ください。軽い擦り傷の場合でも、ご心配な点があるときには、お近くの「形成外科」を受診することをお勧めします。
一方、傷口が大きかったり深かったりしたときには、速やかにお近くの「形成外科」を受診して下さい。病院での治療は、まず傷口を洗って、砂やアスファルトなどがついてないか、小石やガラス片などが埋まりこんでないか観察します。これらをそのままにしておくと、膿(う)んだり黒茶色のキズあとを残したりします。小石やガラス片などがあるときには、注射の麻酔をして、小さなピンセットなどで確実に取り除きます。また、砂やアスファルトなどがみられるときには、麻酔をして擦り傷のすれた方向に沿って、清潔なブラシなどを用いてブラッシングすることで取り除くことができます。このような手当てで、傷口はいったん出血したり痛々しくなったりしますが、とても大切な治療です。次に、少し出血があるときには出血を止める被覆材(ひふくざい)を当て、出血が少ないときにはキズを適度な湿潤環境にする被覆材(ひふくざい)を当てます。膿(う)む危険性が高いときや小さなお子さんで被覆材を貼っていくことがむずかしいときには、傷口を洗うことと塗り薬で治すことがあります。
このようにして傷口が治ったあとも、しばしば2~3か月キズあとの赤みが続くことがあり注意が必要です。赤みがみられる間は、日光などで茶色の色がつきやすく、日焼け止めクリームや帽子・日傘などで紫外線対策をしてください。また、「形成外科」では、傷口を早く目立たなくするためのお薬を出すこともあります。
おわりに、擦り傷が膿(う)んだり、キズが治ったあとに黒茶色の色を残したりしたときには、お近くの「形成外科」の担当医に早めにご相談ください。黒茶色のキズあともレーザーなどで治療できることがあります。
2020年2月1日掲載