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理事長就任のご挨拶

日本創傷外科学会 理事長  橋本 一郎
(徳島大学大学院形成外科学 教授)

この度、本学会の8代目理事長を拝命いたしました、徳島大学医学部形成外科学講座の橋本一郎です。一般の皆様と会員ならびに医療従事者のみなさまへご挨拶を申し上げます。

一般の皆様へ
医療と医学はますます細分化され、一人一人に寄り添った細やかな医療が可能になっています。日本創傷外科学会は形成外科医が中心となり、キズの外科的治療やキズアトを綺麗にする治療に関して研究や情報交換をしています。キズ・キズあとの治療は日々進歩しています。たとえば、以前にはキズは乾かした方が良いとされてきましたが、最近の知見では清潔な状態であれば乾かさない方が良いとされ、以前とは全く反対の治療が勧められています。これは環境の改善や使用できる医療器材の進歩が要因となっていますが、このように治療に対する考え方はさまざまな点で変わってきています。また、大きなキズや外傷、身体の一部の欠損などに対しては、外科手術を行うことで治療します。外科手術の方法も大きく発展しその治療成績も改善した結果、以前では治療できなかったものも治せるようになっています。キズあともその部位や年齢によって問題になることがあります。とくにケロイドは有色人種に特有の疾患であり、いまだに原因は特定されていませんが、その原因の研究や治療方法には進歩が見られます。

日本創傷外科学会は、全身の創傷に対する最新の医療について一般の皆様に情報発信を行っております。学会のマスコットキャラクター「なおるん」を先頭にして、『キッズの日はキズケアの日(5月5日)』が記念日として日本記念日協会に登録されました。一般のみなさまへの「キズ・キズあと ガイドブック」も刊行されています。ぜひ参考にしてくだい。

会員ならびに医療従事者のみなさまへ
形成外科医は以前より外傷を扱ってきたため、創傷外科は形成外科の治療の一分野として認識されてきました。近年は創傷外科の分野では、創傷被覆材や局所陰圧閉鎖療法、成長因子製剤、人工真皮など全く新しい材料や装置が開発され改善され続けています。その影響のために創傷外科の治療は以前のものと比べると様変わりすることになり、学問としての創傷外科学がますます重要になってきました。

2008年に野﨑幹弘先生(東京女子医大形成外科教授:当時)を理事長として設立された本学会は、翌年の2009年1月に波利井清紀先生(杏林大学形成外科教授:当時)のもとで第1回設立総会が東京で開催されました。創傷外科を形成外科治療の単なる一分野に止めることなく、学問としても根付かせて発展させ続けることを目指して本学会が設立されたものと、私は理解しております。そして本学会の会員数が順調に増加していることから、創傷外科学の重要性が広く浸透していることが読み取れます。

本学会では歴代の理事長や役員そして会員のご努力により、専門医制度が創設され、日本語と英語の学会誌、ガイドラインが発行されています。また、学術研究助成制度も開始されました。これらの制度と刊行物は、創傷外科学を確立して発展させるためにそれぞれが相乗的な効果を積み上げていくでしょう。さらに今年度から慢性創傷を治療するうえでは避けては通れない在宅医療に関する特別委員会を設けることといたしました。

本学会はこれからも創傷を医学と医療の両面から総合的に捉えていきます。本学会の発展に、みなさまのご指導とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

日本形成外科学会・日本創傷外科学会 公式キャラクター キズを治す妖精「なおるん」

日本形成外科学会・日本創傷外科学会
公式キャラクター キズを治す妖精「なおるん」

橋本理事長写真

「日本創傷外科学会」創立にあたって
(初代理事長 野﨑   幹弘)